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発行元 :Jam Books
発行日 :2018年8月8日
サイズ :A5版 210mm×147mm×18mm
ページ数:全204ページ ※サイン入り
2018年8月ピクトリコギャラリー、Place Mにて開催された個展『THE BUS』と同時に発刊。前作に続きハワイを舞台にした、鶴巻育子2冊目の写真集。ハワイ公共バスの車窓から見た風景で構成されています。パラパラとページを捲ってみると、実際バスに乗りながら、次々と移り変る風景を眺めているような不思議な感覚を覚えます。
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THE BUS
南国は性に合わない、ハワイは俗っぽいなど言いつつ、無性にハワイへの写欲に駆られるときがあり、気が付けばホノルル行きのチケットを購入している。とは言え、いざキラキラした相変わらずのハワイを目の前にすると、うっとうしくて仕方ない。そんな矛盾だらけの気持ちでカメラを片手に彷徨うときの交通手段が、THE BUS(ハワイの公共バス)だ。
退屈な移動時間を潰すため、窓側の席を陣取り外の景色を写そうとするが、THE BUSのほとんどの窓ガラスは潮風のせいか曇りが酷くやたらと汚れている。おまけに傷が付けられているガラスもあり、撮影もままならない。ところが、そんな窓ガラスがフィルターとなり、相変わらずのハワイが違った世界に姿を変えた。
それからはTHE BUSの窓側の席がハワイでの撮影フィールドとなった。そこに映るのは不確かな美しさと曖昧な現実。汚れた窓に強い太陽光が反射し景色が滲み、青く澄みきった海も空も濁ってしまう。傷や落書きが邪魔する街の景色は、どこか妖しげで色っぽい。見惚れる私の気持ちとはうらはらにTHE BUSは勝手に走り続け、おぼろげな世界を消し去ってしまう。
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鶴巻育子(つるまきいくこ)
東京生まれ。広告撮影、写真雑誌の執筆や、講師やセミナーなど多方面で活動中。ライフワークでは、国内外の街の風景や人々を撮影し、精力的に作品を発表している。個展、グループ展多数開催。2019年3月、目黒に写真ギャラリー『Jam Photo Gallery』をオープン。